きみの色を、ぼくはいつだって探してる。
あれはいつのことだったか…それはそれは天気が良くて、やわらかな陽光がひたすらに眠気を誘ってきたのだ。
木陰に二人して寝転がって、草にくすぐられながら他愛ない話をしていた。
それは最近あった面白い出来事だったり、身近な人物についてだったり、此処ではない異国についてだったり、今夜の夕飯についてだったり…本当に、本当に他愛ない…とりとめのない話をしていた。
どちらからともなく話題を提供しては、それについてゆるりゆるりと今に相応しい穏やかさで話をしていた。
特に多くを考える必要はないと、互いに無意識の信頼があったのだと思う。何故ならきっと、互い共に違いなくそこには好意があったはずだから。
俺たち二人の好意は、好きだと声高に叫ぶものではなかった。けれどいつだって俺の隣にはお前が居る…そう、当たり前と馴染んだ世界が俺たちの好意だった。
自然にごく自然に日常に姿がある存在の尊さ…俺たちにはそれが分かっていた。口にはしないけれど、それでも分かっていたのだ。
くだらないことで馬鹿笑いしては腹が痛くなったり。
不意にみせる優しさに泣きたくなったり。
似合わない台詞を言ってみては手を繋いだり。
美味しいものを一緒に食べては乾杯したり。
星の明るい夜を眺めては隣り合って眠ったり。
自分の世界に馴染む人をつくること…それもとても怖いことだと俺は思った。
だけれど、いつかの未来で何かがどうして泣きたくなるような…いっそ後悔をするようなことが起こるとしても。
そんな先を考えては恐怖に体が震えても。
…それでも俺は、何度だって会えて良かったと思うんだろう。
初めてだと思えることを数えきれないくらい二人でした。なあお前もそうなんだろうって、聞かなくても分かる。分かるさ当然だろう。
言葉にしなくてもわかるんだって、実は凄いことなんだなぁって最近思うんだ。言わなくても通じるだなんて…上手く言えないけど凄いよな。ほんとに。凄い。
そんな相手に出逢えたって…こういのがいわゆる、奇跡ってやつだろ?
お前もそうだろ?
そうだったら笑ってくれよ。
そしたら俺も笑うからさ。
二人で美味いものでも食べて、馬鹿みたいに笑おうぜ。
なあ、今夜も星が綺麗に見えそうだな。
It loves gently.
(優しく愛せるぼくらの幸せ)
***
このえ様、この度は50000打企画にご参加下さり誠にありがとうございました!
カシアリでお互いに愛おしすぎてたまらないお話…との事でしたが、いかがでしょうか?…もう消化が遅くて本当に本当にすみません!リクエストありがとうございました。すみません!(土下座)
それでは本当にありがとうございました!!
(針山うみこ)